こちらの建造物は、フランスにある「ピカシェットの家」という手作りのお家で、陶器工場に勤めていた作者が陶器の破片でコツコツ作った物です。
こういう、職業芸術家ではなかった人が発表する事や報酬を考えずにひたすらコツコツ積み上げた作品を、私は「呼吸や排泄」みたいだなと思います。
初めから「商品」にすることを意識して作られた作品とは異質だと思うんです。
あなたが絵を描いているのは何故ですか?
さて、突然ですが、あなたが絵を描いてるのは何故ですか?
という質問に、貴方はなんて答えますか?
好きだから?
楽しいから?
もちろんそれらも根底にはあるでしょう。
私は…
いつも返答を迷います。勿論好きは好きなのですが、ドンピシャの答えではない。
何故かというと好き嫌いを意識する間も無く、物心ついた時にはもう描くのが日常になっていたからです。
いわば「睡眠」「食事」「空気」などと一緒でした。
しかし、いつでも呼吸をするように当たり前に、のびのびと絵をかけていたわけではありません。
絵を描くことが楽しくない…
以前のようなのびのびとした絵が描けない…
そんな苦しい思いをした時期もありました。便秘や呼吸困難のようでした。
私のもがいた経験と、克服する過程を詳しく告白しています。→絵のモチベーション維持に最も大切なもの
今回は私の実体験をもとに、自由に絵が描けなくなったとき、してはいけない2つのことを紹介します。
1.絵の勉強はしすぎない
「息の吸い方」の勉強をしてもよく分からなくなってくるのと同じです。呼吸の仕方を超論理的に説明しようと思う人がなかなかいません。
そもそも、絵描きを志す人たちは手を動かす方が向いている方が多いのだから、調べるのは必要なこと、興味があることなど、自然にできる範囲でも問題ありません。
何かをインプットするのもインスピレーションの為であり、解説するのは評論家の仕事なので、「知識を得てレベルアップしなければ」と楽しんで出来ないならやめた方が良いです。
2.絵を利害のあることと繋げすぎない
自分の絵を、利害のあること、特に仕事に繋げることに抵抗が生まれたら、無理にする必要はありません。
多くの方には、幼少期や学生時代などに利害の関係ない世界でのびのびと絵を描いていた時期があると思います。そこで得た技術を以ってしても、商品を描くとなると100%好きなように描くことは難しくなります。
息の吸い方を変えることはそう簡単に出来るでしょうか。
それでも、自分の能力を活かしたい!描いた絵で認められたい!という欲求は出てくるものです。
その場合は、仕事と関係のない100%自分の好きに描ける絵を気分転換に描くとか、仕事を選ぶときに少しでも「楽しくできそう」と思えるものを選ぶなどすると、世界も広がって楽しく仕事ができると思います。
絵を趣味や生きがいにして、他で安定した仕事を持ちたい、それも1つの正解だと思います。
私は、最初は絵は自分にとって呼吸や排泄みたいに当たり前に身近で必要なものだから、逆に仕事にして苦労したくない、という考えでした。
しかし、実際に仕事にしてみると、絵の仕事で成果が出たときは何よりも気持ちいいし、普段の生活も「自分ならこう描くな」と様々な商品を見ながら想像して暮らしています。
他の種類の辛い事なら本当にただ辛いだけだけど、絵のことだったら成長が待ってるから耐えられる、そんな気持ちでいられるので、絵の仕事は続けたいと思っています。
その分、気持ち良く描ける工夫や、完全に自分の為にだけ描く絵を作るなど、バランスが取れる様にしています。
まとめ
空気を好きって意識することはほとんど無いですよね。
なので私は、好きだから頑張るとか、好きなことをやりたいとか、そういう感覚よりは「息してないと苦しい!」って感覚でいました。
私の場合、冒頭の質問の答えは
「気付くとつい描いちゃうんです。」という答えになるんです。
↑ひたすら楽しく描いた絵!
私の回答がしっくり来る方は他にもいるのではないでしょうか。
こんなタイプの人は…意識して描いてこなかっただけに、意識した途端描けなくなるという事態が起こり得ます。
美大芸大受験をしたり、仕事として絵を描き始めたりすると、「絵」のポジションが今までと変わって「自然なこと」から「求められること」「責任を伴うこと」などに変わります。こうなると、今までのようにのびのび描くことができなくなり、苦しい思いをします。
私の感覚とぴったり一致する方はどれだけいるかは分かりませんが、楽しかったはずの絵を描くことが楽しくなくなってきた…という経験は多くの方がされていることでしょう。
絵の学校や仕事など、好きなことや自己表現の手段に評価や責任が伴うようになるととても苦しいこともありますが、なるべく楽しくやっていけるように一緒に頑張りましょう。