今回は「絵の具」について、どんな種類があるのかお伝えしようと思います。
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- 油絵具
- アクリル絵具
- 透明水彩とカラーインク
- ニュータイプの水溶性油絵具
1.油絵具
長く絵を描いている人なら、一度は油絵具を使ってみたいと思ったことがある人は多いのではないでしょうか?
盛り上げたり重ねたり、重厚な画面を作ったり、水彩にはない表現ができるのが魅力ですよね!
油絵具は絵具チューブから筆までついた基本セットが売られていて、大きな画材屋さんで揃えようと思えばすぐ揃えられる画材です。
お値段も10000円強くらいで、安くはありませんが、道具を揃える敷居はそんなに高くないんです。
問題は使い方の難しさです。
油絵具には透明色や不透明色、揮発性油や乾性油など、意味不明な用語が沢山書いてあります。
実際使ってみると、その使いづらさが良くわかります。
なかなか乾かない
絵具が乗らない
色が汚くなる
…
など、思うように描けなくて驚くと思います。
不透明絵具から先に使うとか、揮発性油と乾性油を少しずつ混ぜていくとか、速乾剤を混ぜると乾きが早いとか、理屈が分かっても慣れるまで時間が掛かります。
大変ですが、ペン画や水彩画にマンネリ化してきた方はぜひ一度手を出してみることを強くオススメします。
結局ペン画や水彩画に戻るとしても、きっと表現の幅が広がることと思います。
私は美大の油絵科を卒業しています。
現在は水彩中心に描いていますが、ここぞというときに油彩を足したり、気分転換に油絵を描いたりと、油彩の技術が役に立っていますよ。
油絵具について詳しく知りたい方のためにクサカベ社の質問コーナーが、油絵具の疑問に大変分かりやすく答えて下さっているので載せておきます。
http://www.kusakabe-enogu.co.jp/q_a/q_a_o_m.html
油絵具について語りたいことは山ほどありますが、いずれ他の記事を書きますね。
2.アクリル絵具
扱いの難しい油絵具に対し、あらゆるサイドで使いやすい絵具として人気なのがアクリル絵具です。
私も愛用しています。メーカーによって様々な色が出ているので、口紅やアイカラーを選ぶみたいにわくわく選べてとても楽しいです。
アクリル絵具の主な長所は、
・乾きが早い
・色数が豊富
・メディウム(後述)を使えば盛ったりザラザラにしたりテカテカにしたり表現が多様
などです。
乾きが早いので、とにかく扱いやすいです。
絵の完成も早くできますし、「あっ!」と思ったときの加筆・修正もラクです。
初心者からプロまで広く愛用されているメジャーな絵具なだけに、本当に色数が豊富です。選びきれないほど売られています。
初めのうちは深く考えずに、これでいいやと思うものを買えば大丈夫です。
メディウムとはアクリル絵具に混ぜて、粘土や透明度などを変えることのできる優れものなペーストです!
必ず使わなければならない道具ではありませんが、あることで表現の幅がかなり広がるのでオススメです。
憧れの美少女戦士セーラームーンの作者、武内直子先生はガラスのカケラが入ったメディウムを使用しているそうです。私も影響を受け、愛用しています。
ガラスビーズ入りメディウムを背景に使って書いた絵がこちら
武内先生の作品の中の、メディウムを使って描かれた絵で1番好きなのがこちらです!
星くずや鉱物のかけらが散っているような感じでとてもきれいです♡
武内先生は、ビーズや和紙なんかも使用していて本当に乙女の装飾ゴコロをくすぐります。素敵…!
ちなみにセーラームーンで一番好きな絵はこちら
かっこいい車とビル群、更に薔薇の花びらという演出と、皆の表情がかなり大人っぽくて初めて見た時は衝撃的でした。
あとこちら
シールやトレーシングペーパーなど色んな素材を重ねていて、かなり凝っています!絵はこんなに自由に作れるんだなとセーラーサターンのカッコよさだけでなく技法にも感動しました。
話が逸れました。
良い所ずくめに見えるアクリル絵具ですが、油絵具に憧れ、挫折し、アクリル絵具を使ってみたら、こんな感想もあると思います。
・なんか…マット(艶がない)すぎる
・色がポップすぎて軽い感じがする
※アクリル絵具のみで描いた私の作品です。
ジェルメディウムでグロッシーにしても、なんか美術館で見た油絵の重厚なツヤと違う…
そのような感想を持たれるのも当然だと思います。
アクリル絵具はアクリル樹脂、油絵具は乾性油を土台の成分として作られています。アクリル樹脂は、水分を蒸発させて固まるので、乾く時に色が痩せるんだそうです。
チューブから出したてですぐに塗った時はとろとろツヤツヤだったのが、乾くとマットになりすぎている印象を持つ現象ですね。
こちらも私の作品です。アクリルを使っています。アメコミを意識しました。ポップな画風との愛称は抜群だと思います。
3.透明水彩とカラーインク
とにかく色の美しさにこだわるのなら、透明水彩かカラーインクという、透明度と発色がとても美しい画材があります。
油絵具やアクリル絵具がドロッとしているのに比べて、透明水彩はもう少しコシがある感じ(伝わるかな?)で、カラーインクは完全な液体でできています(プリンターのインクに似ています)。
両方とも厚く塗り重ねることには向いておらず、絵具を水で溶く濃度を変えて、濃淡をつけて描く、といった使い方をします。
さらさらのジュースで作品を作っていくイメージです。
乾くとアクリル画や油絵みたいに堅牢な画面ではなく、透き通るような画面になります。
アクリル絵具のマットな画面より、色の深みや発色を感じる作品を作品を作りたい場合はこちらがオススメです。
カラーインクも武内先生の愛用の画材です…!(近年はCGも使用されているようです)
この発色の良さ、スカートのにじみ具合など、まさにカラーインクの長所が出ています!
ウインザー&ニュートンのカラーインクが見た目がとってもオシャレでリーズナブルでオススメです。絵を描くのが好きな人のプレゼントにもいいですね。ジャケットもいいのに中身の色も綺麗とか、高級スィーツ見たいです。私も扱いが難しいにも関わらずたくさん持っています。使い終わったら飾り棚に飾っています。
4.ニュータイプの水性の油絵具?!
私は扱いやすいのでアクリル絵具が一番手放せませんが、ここぞという表現をする時に混ぜて使っている画材があります。
それは…
ホルベイン水溶性油絵具
「アクアオイルカラーデュオ」
です!!!!!!!
使う前は水で使える油絵具?アクリル絵具みたいなんでしょう?と思っていたのですが、なんと油みたいなネットリとした使い心地で、程よいツヤを持っているんです!しかも乾くのが早い!
油絵具の速乾剤は、乾くのが速すぎて筆やパレットが固まってバキバキになってしまう事もあったのですが、これならそんな苦労は全くなさそうです。
油絵具の艶と重厚な色合いと、アクリル絵具の水溶性の扱いやすさと速乾力を併せ持った、まさにニュータイプ。
黒と白だけでこんな絵を描きました。
油絵具で描いたのとそう変わりません。大変気に入ってしまいました。
本当に本当の気合いを入れて描く部分には油絵具を使いたいとは思いますが、大半これでいける気がします。
ヂュオさんより少しお安いのはこちらの水性、油性両方の特徴を持つ絵具として画期的なクサカベの「アキーラ」さん
13色で1700円弱です。
使った感じはデュオさんより柔らかく伸びる感じです。
素晴らしい使い心地です!少しねっとり、基本サラサラで、程よく重みのある画面になります。他の物と混ぜられないのが残念ですが、お値段もお手頃なので気になりません。
こちらもどんどん増やして使っていく予定です!
油絵具、アクリル絵具、水溶性油絵具、水性油性の特性を持つ絵具など、現代は様々な画材があって恵まれていますね!1種類使ってみて合わないなと思ったら、色々試してみるといいですね。
絵具以外の画材についても知りたくなったらこちらをお読み下さい。→初めて絵を描くときの画材8つ